毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回の絶景の舞台は、スペイン・アンダルシア。一年を通じて気温が暖かく、年に30日しか雨が降らないというこの地域。その海岸線は、“太陽海岸”と呼ばれているのだそうです。旅の起点である、地中海に面した大都市・マラガは、文句なしの晴天。気持ちのいい青空が広がっています。ちょうど復活祭の時期ということもあり、町はなんとも賑やかな雰囲気です。海辺を散策していると、この近くの海で獲れたイワシを焼いているおじさんに出会いました。この太陽海岸で一番美しいのは、地元マラガだと語る彼。それに対抗するように、もう一人のおじさんが現れ、タリファという町の海と砂浜が素晴らしい、と教えてくれました。中でも、タリファで見る夕日は別格なのだとか。そんな彼の言葉を信じ、この太陽海岸で最も美しい夕日が見られるという、タリファを目指すことになりました。
翌日、船とバスを乗り継ぎ、太陽海岸に沿って南へ。アンダルシア最南端の町・タリファに到着しました。マラガの晴天とは打って変わって、タリファはどんよりとした曇り空。それどころか、まるで台風のような強風が吹き乱れています。立っているだけでも大変なほどです。聞けば、タリファはスペイン屈指の暴風地帯。山に囲まれたこの場所には風が集まりやすく、逃げ場を失った風が吹き荒れるのだとか。この地域で盛んなのが、カイトサーフィン。その名の通り、凧のような帆で風を受けてサーフィンをします。強すぎる風を上手く利用した、この町ならではのスポーツです。さらに、海の近くに広がっていたのは真っ白な砂丘。風によって運ばれた砂が蓄積して生まれた砂丘なのだそうです。風の岬、タリファ。この町と風は、切っても切れない縁で結ばれているようでした。
旅の最後に地元の人が連れて行ってくれたのは、タリファで最も広い砂浜。厚い雲に覆われた空の下、奇跡を信じ、日が落ちるその時を待ちます。しばらくすると、風が段々と強くなり、波が高くなってきました。浜辺では、砂煙が舞い上がります。そして、風が雲を追い払い、ようやく太陽が顔をのぞかせました。タリファで見る、初めての太陽です。風と共に刻一刻と表情を変えていく空。風と太陽の共演が生み出した、壮大なイリュージョン。アンダルシア最南端で見る夕日は、たった一幕の奇跡のようでした。