毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回の絶景の舞台は西オーストラリア州。旅の起点は州都・パース。まずは、スワン川の畔に広がるこの町を散策してみることに。気持ちよく晴れ渡った空の下、新旧の建物が入り混じる町並みを見て回ります。少し遠くに目をやると、ボトルの先端が尖ったような、一風変わった近代的な建物が。内部の階段を上った先には、いくつもの大きな鐘が展示されていました。聞けば、2000年を記念する事業の一環で建てられたベルタワーという比較的新しい建物だそうで、イギリスの教会から寄贈された歴史ある鐘を展示している場所なんだとか。“ベルリンガー”と呼ばれる人たちが、町の人や観光客の為に定期的に鐘を鳴らしているらしく、その様子を見学させてもらいました。一つ一つの鐘にロープが繋がっていて、それを引くと鐘が鳴るという仕組みになっています。とても気さくなベルリンガーたちと楽しいひと時を過ごしました。
さて、いよいよ絶景の旅が始まります。西オーストラリアの内陸部には“ウェーブロック”と呼ばれる奇岩があると聞き、一路東へ。長距離バスに揺られて約4時間、訪れたのは、ウェーブロックの玄関口となる町・ハイデンです。気温40度にも及ぶ炎天下の中、小さな町は閑散としています。立ち寄った商店で、原住民族アボリジニ出身のガイド・スティーブさんを紹介してもらいました。聞けば、ウェーブロックとその周辺は、アボリジ二ゆかりの地なのだとか。スティーブさんは、ここを訪れる人たちにアボリジニの文化や伝統を語り継ぐためにガイドをやっているのだそうです。その昔、女性が出産の為に使っていた岩場、アボリジニの人々が残していった手形が残る洞窟などを案内してもらいました。そして、ようやく辿り着いたウェーブロック。その名の通り、まるで波が一瞬にして凍りついたかのような、何とも不思議で壮観な風景です。夕刻の風景が一番美しいと教えられてやってきたのは、ウェーブロックの上。時間が経つに連れ、岩肌は斜陽に照らされていきます。音もなく波打つ岩を眺めていると、この地で生きてきた人々の思いがひたひたと寄せてくるような気がしました。
翌日。オーストラリア屈指の美しいビーチがあると聞き、次は海辺の風景を求めて旅をすることに。広漠とした大地をバスで走り抜け、州の南海岸に位置するエスペランスへやってきました。そこで待ち受けていたのは、透き通るように白い砂浜とターコイズブルーの海。燦々と降り注ぐ太陽の光が、その風景をより一層引き立てます。砂浜を歩いていると、ビーチの風景を描いている画家に出会いました。ビーチのすぐ近くにある彼女のアトリエには、この地で描いたという風景画がたくさん飾られていました。そんなエスぺランスの自然をこよなく愛する彼女が薦めてくれたのは、この辺りで一番美しい風景が見られるというミドル島。なんとそこには、“ピンク色の湖”があるのだとか。自然保護区域に指定されているその島への上陸は禁止されている為、飛行機に乗って空からしか見られない特別な風景なのだそうです。地元パイロット・ロブさんの飛行機で、いざミドル島へ。先ほど砂浜から眺めていた美しい海の上を空中散歩します。大陸の海岸線の先に見えてきたのは、緑で覆われた島。そして、本当にありました。ピンク色のヒリアー湖です。目を疑うほどの鮮やかなピンク色です。なんと、色の正体は微生物だといいます。守られた環境だからこそ、その微生物が繁殖するための条件が完璧に揃っていて、いつまでも同じ色を保っているのだとか。森の緑と海の青、そして湖のピンク色。まるで天のパレットから絵の具がこぼれ落ちたかのような、神秘的な風景でした。