毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回はフランス北西部、ブルターニュ地方の絶景を巡る旅。その始まりは、玄関口レンヌから。まず入ったのは週に一度開かれると言われる町のリス市場。何でもブルターニュ最大の市場だそうで、すごい賑わいです。野菜やチーズ、そして魚介類の宝庫、大西洋からとれた新鮮なお魚がズラリと並びます。活気溢れる市場で、美味しそうなブルターニュ名物を見た後はレンヌのシンボル「ブルターニュ高等法院」へ向かいます。ここは16世紀に創設されたブルターニュの最高議会。真っ白でシンプルな外観から一転、中へ入ると黄金の装飾と17世紀の絵画が天井に張り巡らされていました。まさに豪華絢爛。ブルターニュ公国の繁栄を物語っていました。そして壁にはブルターニュの紋章、「イタチのしっぽ」を描いた絵が施されています。イタチは真っ白で汚れなき動物。ブルターニュでは「汚れるよりも死を」という言葉がモットーにされています。高貴で誇り高い、そんなブルターニュ人の心を見た気がしました。
いよいよ、ブルターニュが誇る絶景へ…。訪れたのは巨石が数千に渡って整列していると言われる「カルナック」。一体どんな場所なのか、なぜここに立っているのか、期待を膨らませながら向かいます。そして目の前に現れたのは、まさに背丈以上ある巨石がまっすぐに続いている摩訶不思議な光景。「一体なぜ、こんな景色が生まれたのか?」ガイドさん曰く、これは数千年以上前(新石器時代)、人間の手によって造られたんだそうです。分かっていることはまだ少なく、当時の人々による「宗教的なモニュメント」としての見解が強いそうですが、それにしてもこれだけの巨石をきれいに並ばせるには相当の思いがそこにあったに違いありません。何も語らない神秘の巨石。しかし、そこには確かに古の人々からのメッセージが隠されていると感じました。
ブルターニュの旅もクライマックス。訪れたのは美しいと評判の島“ベル・イル”(仏語で美しい島という意味)です。カルナック近くの港から船で45分。ベル・イルに到着すると迎えてくれたのはカラフルで可愛らしい建物たち。ベル・イルはとても小さな島ですが、町には港があり、かつての要塞がありそして大西洋のブルーがあり、風光明媚なフランス的な佇まいを見せています。さて、ここでの一押しの絶景は「コトン港の針岩」と呼ばれる海にそびえる奇岩。さっそくその針岩を探し求め、町の人々にも訪ねます。すると分かったのは、この針岩は19世紀の印象派を代表する画家、モネも描いた場所だと言うこと。その模写を見せてもらうと、深みのある青々とした海に突き刺すような針岩が力強く描かれていました。「モネは針岩の光や色を出すのが難しく、とても描き甲斐がある」と話していたそうです。
そしてたどり着いた針岩は、想像以上にダイナミックな光景でした。モネの絵の通り、深いブルーの大西洋に大きな針のような岩が突き出しています。まさに、息を飲む絶景です。そしてその最も美しいと言われる瞬間へ…。それは針岩の真後ろに沈み行く夕日が針の突端と出会う一瞬です。大きなオレンジ色の太陽がゆっくりと針岩に近づき、刻々と辺りの光を変化させて行きます。フランス一美しい島で出会ったのは、光の画家モネさえ虜にした風景でした。