毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
旅の始まりは、マウイ島北部の小さな町・パイア。19世紀後半に、サトウキビ畑の拠点として建設された町ですが、今では、アートと音楽とビーチに囲まれた「ヒッピータウン」として知られています。近くの農園で取れたパッションフルーツを使ったジェラートに舌鼓を打ちながら、まずは、マウイ島で一番美しいというビーチ・ホオキパを目指します。パイアの町中からあるくこと20分。大きな波の音が聞こえてきました。穏やかな天気だというのに、寄せては返す波の姿が勇ましいです。海岸沿いで、ヨガのポーズを決めている女性に出会いました。曰く、「ここは私の特等席」だとのこと。ホオキパビーチの波は、世界的にも有名で、プロのサーファーたちが毎日のようにビッグウェーブを求めて来るんだそうです。
ホオキパビーチでツアーガイドのモーリスさんと待ち合わせ。マウイ島の絶景めぐりのスタートです。まずは、車に乗り込み30分、緑深い渓谷に降り立ちました。切り立った崖の合間には、かつてマウイの人々が生活していたという遺跡のようなものが。タロイモやバナナ、お茶などの畑が、渓谷の間を通る川の恵みを利用して脈々と受け継がれてきた様子が、しっかり残されています。そして、見上げると先の尖った大きな岩山が目の前に飛び込んできます。「イアオニードル」と呼ばれる不思議な形の岩山を中心に、作家のマーク・トウェインは“太平洋のヨセミテ”と称したそうです。雨が多い場所と言われるだけあって、10分もしないうちに霧に包まれます。霧の渓谷は神秘的で深淵です。
2日目の朝は、午前5時出発。モーリスさんのガイドで、「モロキニ島」に向かうクルージングツアーに乗ります。マアラエアという港から船に乗ること40分、孤を描くような「クロワッサンアイランド=モロキニ島」に到着しました。船長さんによれば、ここは、マウイ島で一番高い山、ハレアカラ山の噴火口の一つとのこと。噴火口が長い年月をかけて、海の中に半分沈んだ状態がモロキニ島なのです。さっそく海の中に潜ると、ゴツゴツした火山岩には美しいサンゴ礁が…。大きなウミガメとの出会いもありました。翌朝?は何と午前1時前に出発。車で3時間かけてハレアカラの山頂を目指します。標高3000メートル、南国とはいえ、午前4時の気温は氷点下に近く、凍えるようです。上を見上げると満天の星空が。今朝は、素晴らしいサンライズが見られるに違いありません。気が付けば、ご来光を求めて沢山の人だかりができていました。
午前6時、立ち込める雲海の間から、生まれたての太陽が顔を出しました。刻々と変化する頂上の風景。モーリスさん曰く「高い所に上がれば上がるほど神様に近づくことができる。ハワイ語でハレアカラとは“太陽の家”を意味するんだ」。頬を突き刺すような寒風を忘れさせてくれる絶景に思わず合掌です。