「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#231 消えゆく陸の孤島チヴィタ(イタリア) 2014/11/7 O.A.

恋の都 ローマ

今回の旅の起点は、永遠の古都イタリア・ローマ。賑やかな中心地の広場では、歴史ある花市場が開催され、軒先に並んだ花々からは、心地よい香りが漂ってきました。花屋の主人に薦められて訪れた場所では、何やら扉の鍵穴を覗く人々の行列が…。覗いてみると、遠くの方にバチカン市国のサンピエトロ大聖堂が見えました。鍵穴から美しい景観が望めるこの場所は、人気のデートスポットなんだそうです。そして夕方、立ち寄ったカフェで出会ったのは、仲良くジェラートを食べる恋人同士。デートの時は必ず訪れるという、ウンベルト橋へと案内してもらいました。目の前に現れたのは、昼間に鍵穴から覗いたサンピエトロ大聖堂。夕闇のベールに優しく包まれて、よりいっそうロマンチックな雰囲気を醸し出していました。その華麗な佇まいは、この町で愛を育む恋人たちを優しく見守っているかのようでした。

母なる山 グランサッソ

翌日はローマから大自然の風景を求めて一路東へ。イタリア半島を縦貫するアペニン山脈の最高峰、グランサッソを目指します。その美しい景観は多くの登山家を魅了するだけでなく、地元の人々にも親しまれているんだとか。さっそくガイドさんの案内でその展望台へ向かったものの、厚い霧と雨でまったく見えず仕舞い。出直すことにしました。翌朝は快晴、もう一度展望台へ。そこには、晴れ渡った空の下、壮観なアペニン山脈の大パノラマが広がっていました。悠々しくそびえる岩の峰・グランサッソの裾野には、一面緑の大渓谷。その堂々たる姿は、この地に生きる動物や植物など、自然の命を優しく包み込んでいるように見えました。

消えゆく村 チヴィタ・ディ・バーニョレッジョ

さらなる絶景を求めて訪れたのは、チヴィタ・ディ・バーニョレッジョという小さな村。その景観は、まるで陸の孤島のよう。実は、脆い粘土質の土地に築かれたチヴィタは、長い年月をかけて地盤が徐々に滑り、崩れ落ちているが故に「死にゆく村」と呼ばれているんだそうです。村へ通じる唯一の道を渡った先には、絵本のような可愛らしい家々が建ち並んでいました。村人に案内されてやってきたのは、なんと紀元前に造られたという地下洞窟でした。ローマ文明が繁栄するよりも前に勢力を誇っていたというエトルリア人が、生活空間として掘った洞窟なんだそうです。今ではレストランなどにも利用され、歴史と共に生きる村人たちの暮らしを垣間見ることができました。朝日を迎える瞬間が一番美しい風景だと聞いて、翌朝、その時を待ちます。すると、朝もやの中、村の背後からゆっくりと太陽が顔を出しました。陽光に照らされて、その姿があらわになったチヴィタ。いつかは消えて失われてしまうかもしれない村の姿を、そっと心に留めました。