毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
まずやって来たのは、サンペドロ・デ・アタカマという小さな村。「アタカマ砂漠」の観光拠点。メインストリートには、飲食店やお土産屋さんが立ち並び、世界各国から来た旅人で溢れています。村を歩いていると、美味しそうなにおいが…。もうもうと煙を吹きながら路上で何か焼いています。焼き鳥?豚?「あ、これはリャマだよ!」え?リャマ?リャマといえば、南米によくいる可愛い…あのリャマ?リャマには申し訳ありませんが一本いただくと、砂漠で味わうその肉は…、たまらなく美味しかった。その後、車で30分「月の谷」と呼ばれる絶景ポイントへ。深く険しい谷をどんどん歩いた先にあったのは・・・見たこともない風景。恐竜の背中のようなゴツゴツとした岩肌が延々続きます。滅多に雨がふらない、渇ききった砂漠が何十億年もかけて創りあげた、巨大なオブジェです。まさに地球ではなく、月に迷いこんだかのよう風景が眼下に広がっていました。
現地ガイドのセサールさんに「今まで体験したことのない不思議な感覚が味わえます!」と言われて連れてきてもらったのはセハール湖。青く輝く、美しい塩の湖です。でも、不思議な感覚ってなに…?その時、突然、ガイドのセサールさん、湖にドボーン!飛び込んだ後、両手両足を水面に上げ、「どうですか、びっくりでしょう」と笑っています。なんと身体の半分が水の上に浮いています。そしてプカプカ浮いたまま雑誌を読み始めました。そう、ここは死海と同じ、身体が異常なくらい水面に浮くのです。もっとも塩分濃度は30%以上で死海よりも塩分が濃いのだそう。水に浮いたまま、読書はもちろん、お酒も飲めるし、食事も出来ます。本当に不思議な感覚を味わいました。
先住民族のガイド、セサールさんによると、「観光客がほとんど知らない、とんでもない絶景」があるとのこと。その主役は満月。アタカマの星々の美しさは有名ですが、実は月の美しさ、明るさはそれ以上だそうで、その不思議な月光はここでしか見れないといいます。そして今宵は満月。先住民族が満月がのぼった瞬間に、今も大地の神に祈りを捧げるというその伝説的な絶景にどうしても会いたくて、セサールさんと向かったのは、村から遠く離れた深い谷。観光客がめったに訪れない静かな場所で、先住民族が神と讃える、リカンガプールという山が正面に見えます。この聖なる山は高さ6000m、日本の富士山にそっくり。大砂漠のセンターに常にどっしりと構え、強烈なオーラを放ちます。西の空が真っ赤に染まると、聖なる山も全身に真っ赤な衣装をまといます。夕日が沈むと同時に、まず夜空に現れたのは無限に輝く星々。流れ星も元気よく夜空を飛び回ります。そして、聖なる山、リカンガプールの麓にゆっくりと満月が現れました。その眩しさ。まるで太陽のように明るい満月。それまで夜空で煌めいていた星々が、ゆっくり消えて行く。満月のあまりに強烈な光に大地も照らされ明るくなっていきます。こんなにも満月って明るいんですね。真っ暗な部屋に、いきなり電気をつけたような満月の輝きに驚きました。「われわれ先住民族はこの絶景に、たえず感謝しながら生きているのです。」セサールさんが、月に一度の満月に、ずっと手を合わせていました。