毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
やってきたのはイタリアの首都ローマです。時刻は午後8時。町はライトアップされた遺跡や彫像が浮かび上がり、まるで映画のセットのよう。幻想的な風景が広がっています。昼間とはまた違うローマのもうひとつの顔を見ることができました。観光地から少し離れたところで見つけたのは、知る人ぞ知る地元で有名なピザ店。店内では陽気な職人さんが慣れた手つきでピザを焼いています。職人さんお薦めは、パリパリの薄い生地にクリーミーな水牛のモッツァレラがのったマルゲリータ。舌の肥えたローマっ子自慢の味なんだとか。相席していたグルメなマダムに誘われ、続いて向かったのはジェラート店。栗がたっぷり詰まった濃厚なジェラートを頂き、美食の町、ローマの本場のグルメを堪能しました。
昨日ピザ店で知り合ったグルメなマダムの薦めで、美味しいレンズ豆が栽培されるというウンブリア州のカステルッチョ村を目指すことにしました。ウンブリア州は、イタリアで唯一の海に面していない“内陸の州”で、緑豊かな自然に囲まれていることから「イタリアの緑のハート」と呼ばれています。ローマを出発しおよそ1時間。乗換駅のテルニという町で、マルモレの滝という美しい滝があると聞き、寄り道してみることにしました。しかし滝に着くと、水がほとんど流れておらず、けたたましいサイレンが鳴り響いています。がっかりしていたその時、滝の水が少しずつ増えてきました。20分後には激流となり落差165メートルの巨大な滝が生まれました。実はこの滝、自然にできたものではなく、2千年前に古代ローマ人が農業のために作った人工の滝なんだとか。古代ローマ人のみずみずしい置き土産を見つけました。
テルニからバスに乗り換え、カステルッチョを目指します。山道のカーブをどんどんと登りきると、その先にいきなり緑の大平原が現れました。背の高い木立は一本もありません。カステルッチョ村は、その大平原の小さな丘にぽつんと佇んでいて、まるで陸の孤島のよう。けなげに咲く野の花やレンズ豆畑のパッチワークは圧巻の風景です。しかし地元の人によると、かつて800人が住んでいた村も、今では年間を通して14人しか住んでおらず、村の存続が危ぶまれているんだそうです。翌朝、早朝に目を覚まし大平原が一望できる場所へ行くと、真っ白な霧の海が現れました。朝の光を受けた霧は、まばゆいベールのように村をやさしく包み込んでいきます。まるで村が雲の上に浮いているかのような壮観な風景が現れ、ひとときの間、カステルッチョ村は「天空の城」に姿を変えました。