「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#191 大自然の水彩画 チロル(オーストリア) 2014/1/10 O.A.

アルプバッハ

今回の舞台はオーストリア。最初に訪れたのは、世界文化遺産にも登録されているザルツブルクです。ザルツブルクはモーツァルト生誕の地。町のいたるところでモーツァルトをモデルにしたお土産が売られています。モーツァルトの生家前もたくさんの観光客で賑わっていました。町を散策していると、地元の観光ガイドからチロル地方にあるアルプバッハという村を薦められました。アルプバッハは山間にある小さな村で、幻想的な美しい風景が見られることから隠れた観光名所として人気なんだそうです。早速、アルプバッハ村を目指すことに。ザルツブルクから鉄道とタクシーを乗り継ぎ、およそ2時間半。深い山の奥に木造の家が立ち並ぶ小さな集落が表れました。どの家も大家族が住んでいそうなくらい大きく、歴史を感じさせるものばかり。なんとアルプバッハ村は、近代的な建物の建設を禁止し、昔の家を大切に保存するのが決まりなんだそうです。村の自慢の風景があると聞いて向かったのは、家族3世帯で住む一際大きな木のお家。バルコニーに上がると、うっすら霧のかかった村の幻想的な風景を見ることができました。翌朝、家族の案内で村を見渡せることができる展望台へ向かいます。眼下には大きな山に抱かれるようにして佇む村の姿が。パッチワークのような牧草地と、よく手入れされた木の家の風景は、まるでやさしい水彩画を見ているかのようでした。

アッヘン湖

次に向かったのは、アルプバッハからタクシーで約20分のところにあるイェンバッハ。124年前から今も現役で走る蒸気機関車があると聞き、乗ってみることにしました。たった2両のかわいらしい機関車です。勢い良く汽笛の音を鳴らすと、山の急なこう配をどんどん登って行きます。緑の中を走り続けること1時間。視界が開けてきたと思ったら、突如、広大な湖が表れました。美しいエメラルドグリーンの湖はアッヘン湖といい、チロル地方で一番大きいんだそうです。近くにあるロープウエーで高台に上がってみると、何やら不思議な光景が…。山の上からワイヤーで吊るされた人が空中滑降しています。これは“エアーローファン”といって、時速80キロで滑り降りるアトラクション。なんでも鳥の気分が味わえるんだそうです。早速、観光客と一緒に乗ってみることにしました。最初は吊るされた恐怖心でいっぱいでしたが、高度を上げて行くと、眼下には美しい緑に包まれたチロルの大自然が!爽やかなチロルの風を体いっぱいに受けていると、まるで本当の鳥になれた気がしました。

インスブルック

イェンバッハ駅から電車でおよそ20分、チロルの中心都市インスブルックにやってきました。山がすぐそこまで迫っているせいか、空気がとても澄んでいます。メインストリートには、色とりどりの建物が並んでいてとても美しい町です。町で出会ったカップルのご厚意で、夕食をごちそうになることに。食卓にはチロルの特産品が並び、どれも美味でした。翌日、町の背後にそびえるノルトケッテ連峰を目指します。町の中心部にある宇宙船のような駅からケーブルカーとロープウエーを乗り継ぐと、あっという間に標高2334メートルの展望台に到着しました。そこは360度の大パノラマ。眼下にはインスブルックの町並みがまるでジオラマのように広がり、遠くにはスイスアルプスが白銀の峰を輝かせています。町から少し足を伸ばしただけで大自然の特等席に出会うことができました。