毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
アドリア海の北部、ラグーナと呼ばれる干潟の上に築かれたヴェネツィア。街には150もの運河が網の目のように走り、中世の名残をとどめる街並みが運河沿いに広がります。
観光客で賑わう繁華街を抜けて、路地裏に足を向けると、運河の街ならではの風景に出合いました。水路に落ちたサッカーボールを拾おうと奮闘する子どもたち、手漕ぎボートを練習する船頭の卵、市民の命を守る救急船の救命士たち…。地元の人ならば当たり前の水辺の暮らしが、新鮮な光景に映ります。
路地裏を散策していると、あの有名なサン・マルコ広場に辿り着きました。そこで、広場に聳える高さ96メートルの大鐘楼へ上ることにしました。屋上の展望台からはヴェネツィアを一望できます。それはまるで、海上に浮かぶ蜃気楼のような風景でした。
ヴェネツィアの街中で、必ずと言っていいほど目にするのが、ガラス製品のお店です。 店頭に並んでいるのは「ヴェネツィアン・ガラス」と呼ばれる色鮮やかな工芸品で、グラスやお皿、ネックレスやピアスなど日用品から装飾品まで種類も豊富です。女性であれば、ついついお財布の紐もゆるんでしまうかもしれません。 「ヴェネツィアン・ガラス」の発祥地は、ヴェネツィア本島の沖合い1.5キロに浮かぶ小さな島・ムラーノ島です。島に到着すると、さっそくガラス工房を発見。マエストロ(巨匠)のガラス職人・ピーノさんと、彼の下で修業を始めたばかりのお孫さんが出迎えてくれました。親から子、子から孫へ引き継がれる職人ワザを拝見です。繊細な手つきで次々と生み出される優美な作品には目を見張りました。 ガラスの里・ムラーノ島には、700年の伝統を守り続けるマエストロたちの気高き姿がありました。
旅の最終日は、手漕ぎボートの伝統を街に呼び戻そうと、年に一度開催される「ヴォガロンガ」です。
出場者たちは自分流の手漕ぎボートを運河に繰り出し、この日、観衆の前で披露します。
かつて繁栄を極めたヴェネツィア共和国の誇りを胸に、水の都の伝統に喝采をおくる観客たち…。
歓喜の渦に包まれながら、色とりどりのボートが運河を悠然と渡っていく風景は圧巻でした。
「ヴォガロンガ」が終わると、さっきまでの喧噪が嘘のように街には静寂が訪れ、辺りは夕日に包まれていきます。目の前に現れたのは夕日に染まる運河の大パノラマ。まるで水辺の宝石のようにキラキラと輝く絶景でした。