「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#186 大地の彫刻 オルデサ渓谷(スペイン) 2013/12/6 O.A.

バルセロナの象徴 サグラダ・ファミリア

旅の始まりは地中海沿岸の大都市、バルセロナです。代々、地中海の魚を売り続けている魚屋さんと出会った後は、地中海のビーチへ。ギラギラと輝く太陽の下、たくさんの地元の人々が海水浴や日光浴を楽しんでいました。その中の一人、建築家のジョアンさんの案内で、かの有名なサグラダ・ファミリアを見にいくことに。サグラダ・ファミリアは天才建築家、アントニオ・ガウディが設計した巨大な教会。着工から130年以上たつ今でも建築は続けられています。その理由は、巨大な建造物にも関わらず、細かなデティールの一つ一つに拘っているからだと語るジョアンさん。手作業で刻まれた見事な彫刻や、自然の光を計算し尽くしたステンドグラスなど、確かに隅々にまで、拘り抜かれています。膨大な時間が費やされている理由、そして人類史上、究極の建物と呼ばれる理由が、よく分かりました。さらにジョアンさんは、サグラダ・ファミリアの美しい姿が見られる特別な場所に案内してくれました。とても意外な場所から見る、その風景を、小さい頃から見続けてきたというジョアンさん。バルセロナの人々は、長い歳月をかけて、少しずつ成長していくサグラダ・ファミリアを、自分たちの成長と重ね合わせながら生きているそうです。

ピレネー山脈の玄関口 アインサ

翌日からは、フランスとの国境に広がる巨大な山脈、ピレネーを巡ります。列車とバスを乗り継いで北へ280キロ。ピレネーの懐にあるアインサという町にやってきました。石造りの建物が並ぶ人口80人ほどの小さな町。そこには、ピレネー山脈のスペイン側にだけ生息する美しい小麦色の肌をした希少な牛、ピレネー牛を育てる人物がいました。今では、絶滅の危機さえあるピレネー牛を絶やさぬため、現在も、この町で牛を育てている、たった一人の牛飼い、ルイスさんです。どうしても見せたい場所があるとルイスさんに誘われ、牧場から少し離れた高台へ。そこは、アインサの町と、その奥に連なる雄大なピレネー山脈が眺められる場所でした。山々に抱かれた小さな町並み。大自然の懐に、人々の暮らしの息吹を感じました。夜は、ルイスさんに招かれ、ご自宅へ。暖炉で焼いたソーセージなど、この土地ならではの料理をごちそうになりました。

大地の彫刻 オルデサ渓谷

翌日は、オルデサ渓谷へ。それは、ピレネーの山中に刻まれた、とても美しい渓谷だとか。バスで北上し、渓谷の玄関口、トルラへ。ここからは、ピレネーを知り尽くした山岳ガイドのアラインさんに案内してもらい、ジープで向かいます。オルデサへ行くには、舗装されていない山道を通るしかなく、しかも、許可を得たガイドでないと通れない立ち入り禁止区域もあるそうです。そして、見えてきたのは、ピレネー山脈の山肌を氷河が削って生まれた、巨大な渓谷。そこにはピレネーの雪解け水が生んだ美しい滝と川が広がっていました。そして、その水が生んだ豊かな森。食虫植物など、珍しい生き物も暮らしています。険しい山道を、さらに登って、高台の展望台へ。標高2000メートルにある、その場所は、雪に覆われた、真っ白な銀世界。雪が溶けて流れ落ちる、遙かな水の旅の出発点を見ることができました。そして、オルデサ渓谷のパノラマが目の前に広がっています。長い歳月をかけて刻まれた、大地の彫刻。人類が到達することのできない、大自然の壮大な営みに、しばし言葉を失いました。