毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
日本から首都ヘルシンキ経由でおよそ11時間、フィンランド南部の中堅都市・タンペレに降り立ちます。今回の旅は、白夜の北極圏、「ラップランド」と呼ばれる地域を目指します。夜10時、夕方のような明るさのタンペレ駅からロヴァニエミ行きの夜行列車に乗ります。シャワーも完備された少し狭いけれど近代的な寝台車の廊下に佇むラップランドの住人、ヘッスさんと偶然知り合い、ロヴァニエミを案内してもらうことに。ロヴァニエミ郊外、ちょうど北極圏を超えたところにサンタクロース村があります。ここには世界中の子どもたちにプレゼントをあげるべく山から下りてきて待機しているサンタさんが1年中いるのです。 そんなサンタさんが特別にロヴァニエミの森を案内してくれることになりました。サウナ小屋の近くにある可愛らしい森と湖の風景です。
ロヴァニエミからラップランドをさらに北へ。ここからはガイドのユッシさんと巡ります。車を走らせるとトナカイの群れと遭遇します。ユッシさんいわく「トナカイは車を全く怖がらない」とか。全てのトナカイは放牧者によって管理されているので、運転者はトナカイを傷つけないように注意しなくてはなりません。そんなユッシさんがトナカイ放牧の家族を知っているとのことでご紹介いただくことに。“愛する川”・レンメンヨキと呼ばれる土地。北に移動してさらに太陽が沈まなくなった放牧地で、ご家族に会います。トナカイはただ今、「マーキング」の季節。夜中12時近く、何とも幻想的なオレンジ色のサンセットの中行われる“トナカイ追い”の様子は迫力満点でした。
旅のクライマックスはレンメンヨキをさらに北上します。キルピスヤルヴィという地は、ノルウェーとスウェーデンの国境がある場所。平坦な森林と湖が大部分を占めるフィンランドにあってここは、ノルウェーらしい起伏の谷の景色も感じられます。中心地から2時間ほど歩くと湖の端っこにまるで、黄色いプリンのようなオブジェが。そして、その周りを1周できるように板橋が掲げられています。1周わずか30秒、何とフィンランド〜ノルウェー〜スウェーデンを巡ることのできる国境地帯なのです。世界中のどこでも国境地帯には一種の緊張感が漂いますがここには皆無です。湖には、雪山が映り込み、まるでフィヨルド地帯のような様子を見せてしばしため息。キルピスヤルヴィにはもう一つ、サーナ・トゥントゥリ(サーナ山)と呼ばれる、フィンランドで2番目に標高の高い名所があります。下から見ると、まるで「アイロン」ような形をした愛すべき山。最後は、この山のてっぺんを目指します。思いのほか険しく、そして猛烈な蚊にも悩まされながら歩くこと2時間。眼下には、フィンランドらしい真っ平らで、でも万年雪が残る岩と美しい湖が見事な絶景が広がっていました。旅の記念に、ユッシさんがフィンランドの民族楽器カンテレを奏でます。優しい弦楽器の音が、頂上に鳴り響きました。