毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
キリマンジャロに次ぐアフリカ第2位の霊峰ケニア山を目指す旅。でもその前にやってきたのは海抜0mの港町モンバサです。30度を越す蒸し暑さですが、真っ青な空と風に揺れるヤシの木、そして何より人々の眩しい笑顔が印象的な町です。モンバサで一番賑わうという市場には、カラフルな洋服を売る店が通り沿いに何十軒も連なり、女性たちが品定めをしています。中でも目を引いたのは色鮮やかな布が山のように積み重なっているお店。この布はカンガといって腰巻きや風呂敷などに使われるそうです。でもよく見ると1つ1つの布に何やら文字が書いてあります。これはスワヒリ語で「神のご加護があれば、全てのことがうまくいく」というケニアのことわざだそうです。今回の旅にも神様のご加護がありますように・・・。祈りを込めながら、モンバサの町を後にし、ケニア山へと出発します。
海抜0mのモンバサから標高2000mの、ケニア山の麓の町ナニュキまでは車でおよそ10時間の長旅。標高が高くなるにつれて、目に飛び込んでくる景色もだいぶ変わってきます。ドライブからおよそ8時間、車窓から見えたのはどこまでも続く田園風景。まるでアフリカとは思えない風景に驚きつつもなんかホッとしてしまいます。そして彼方にはうっすらとケニア山の裾野が見えてきました。しかし標高5000mを越すというその頂は、厚い雲に覆われたまま。いったいどんな世界が待っているのでしょうか・・・
翌朝は麓のロッジでガイドやポーターの方々と待ち合わせ。今回は一般の登山客が登ることができる内の最高峰、4985mのレナナ峰を目指します。午後1時、寝袋や食料、調理器具などを大きなリュックいっぱいに詰め込み、いよいよ出発です。1日目は高山に慣れるため、およそ3時間の登山。ガイドも「ポレポレ(ゆっくり)行きましょう」と私のペースでゆっくりと歩いてくれます。途中、きれいな鳥のさえずりや陽の光に輝く高山植物たちに励まされながら、2日掛けてようやく標高4200mまで到達しました。そこはもう景色が一変。そびえ立つ峰々は白い衣をまとったように雪で覆われています。ケニアの人々は昔からこの山には神様が住んでいると信じていて、今でもその信仰は続いていると言います。たしかにこの景色から神々しいものを感じずにはいられません。
そして登山3日目は午前2時にスタート。頂上で朝日を見るために真っ暗な中歩き始めます。最後は今までとは比べ物にならないほどの急勾配。さらに深く積もる雪が行く手を阻みます。ポレポレで(ゆっくり)進むこと4時間、ついに4985mの頂、レナナ峰を制覇しました。日の出の時間には間に合ったものの、目の前は分厚い雲で覆われてしまい、朝日どころか景色が何も見えません。するとガイドさんが、ケニア山に住むという神様に祈りを捧げ始めました。私も心の中で祈ります。すると10分後、まるで神様が息を吹きかけたかのように、雲がするすると動いていきます。そして、ひときわ堂々たる姿を見せてくれたのは、ケニア山第2の峰、ネリオン峰。うっすらと雪をまとい、凛と佇んでいました。