毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
飛行機の窓から見えるのは、どこまでも続く広大な砂漠。今回の旅の舞台、アフリカ南部に位置するボツワナは、国土の7割がこのカラハリ砂漠で覆われています。首都のハボロネに降り立つと、出迎えてくれるのはアフリカの強烈な日差しと真っ青な空、そして眩しい笑顔で接してくれる陽気な人々です。砂漠の国をイメージしていましたが、街の中心部に入ると巨大なショッピングモールや近代的なビルが立ち並び、ここでは全くといっていいほど、砂漠が感じられません。夕方、ガイドのケニーさんに連れられ、街の絶景ポイントへ。カーリー・ヒルという丘から見えたのは、夕日で赤く染まったハボロネの街並でした。そしてケニーさん曰く、夕日が沈む方向にはどこまでも続く乾燥の大地、カラハリ砂漠が広がっているそうです。
翌朝、首都のハボロネを出てカラハリ砂漠へと出発します。目指したのはハンツィというエリア。なんと車で10時間もかかるそうです。行けども行けども変わらない景色。でも日が高くなるに連れ、気温はどんどんと上がっていきます。さすが灼熱の砂漠地帯。でも辺りには草木もたくさん生えていて、想像していた砂漠とはイメージがちょっと違います。なんでもカラハリ砂漠は半砂漠で多少の雨が降るため、乾燥に強い植物や動物だけが生きているのだそうです。そしてなんとその茂みの中には人間の営みもあるというのです。丸一日掛けてハンツィに辿り着き、その日は砂漠の中のロッジで一泊。翌日は砂漠に暮らす民「サン」の村を訪れ、彼らの生活ぶりを見せてもらうことに。サンの人々は採集狩猟民族。でも乾燥した砂漠の中では採れるものも限られています。そして何よりも大切なのが「水」だそうです。突然、一人の女性が穴を掘り出すと中から大きな根っこが出てきました。なんとこれは水が出る根なんだそうです。根を削りそれを搾ると、溢れんばかりの水が出てきます。一見何もない、カラハリ砂漠の中で、何千年も前から砂漠に暮らすサンの人々の、知恵と伝統を垣間みました。
最後に訪れたのが、カラハリ砂漠最奥の地。そこには世界最大の内陸デルタ、オカバンゴ・デルタがあります。一定の期間だけ砂漠に現れるという水の楽園は、「カラハリ砂漠の宝石」とも呼ばれ、水辺に生える青々とした草木を求めて動物たちが集まります。私がやって来たのは、オカバンゴ・デルタ観光のハイライトと言われるモコロツアーです。モコロとは、カヌーのような細長いボートのこと。水路のような細長い川を船頭さんがガイドをしながら漕いでくれます。波もない静かな水面を滑るように走るモコロ。聞こえてくるのは鳥のさえずりと、時折吹く風に揺れる水草の音。水面にはスイレンの花が咲き乱れ、まるでお花畑のよう。どんどんと奥地へと入っていくと突然上陸しました。なんとここで泳ぐというのです。ただ舟から見るだけではなく、砂漠の宝石と言われる水を体感することがこのツアーの最大のアトラクションのようです。水はとても冷たく、強い日差しで火照った肌を冷ましてくれます。太陽の光でキラキラと輝く水面に、気持ち良さそうに泳ぐ魚たち、空に向かって真っすぐ伸びるスイレンの花畑。まさにここは砂漠で輝く宝石のような楽園でした。