毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
日本から飛行機を乗り継ぎ十数時間、北はイタリアのシチリア島、南はアフリカ大陸に挟まれた「地中海のヘソ」とも呼ばれるマルタ共和国へ。マルタ島・ゴゾ島・コミノ島と主に3つの島からなるこの国は総面積佐渡ヶ島の半分くらいにしかならないそうです。それでもサマーシーズンになると太陽に飢えた北ヨーロッパの観光客を中心にたくさんの人たちがこの国を訪れます。街そのものが世界遺産に登録されている首都・ヴァレッタ。16世紀、オスマン・トルコによる攻撃を見事に退けた後、聖ヨハネ(マルタ)騎士団長ジャン・パラリソ・ドゥ・ヴァレットが街の守りをさらに強固にするために築き上げた城塞都市です。マルタ・ストーンとも呼ばれる乳白色の石灰石が輝く街並みは横から見るとまるで軍艦のようでわくわくします。さらに、今回特別に乗せてもらったセスナ機で上空から見下ろす城塞都市の全貌は圧巻の一言。
マルタ地中海の要所にある小島・マルタの歴史は、数多の民族の侵略を受けた「抵抗の歴史」でもあります。言語はアラビア語とイタリア語の影響が強い独自のマルタ語、イギリスに最後の統治を受けたため残った英語、そしてイタリア語もよく使われます。この国で暮らす人々に「抵抗の歴史」という暗さはほとんど感じられず、地中海に輝く太陽のようにどこまでも明るく、見知らぬ人にでも過剰なくらい親切で優しく、とにかく一度おしゃべりが始まったら止まらない。ドライな人間関係に慣れてしまったわたしたちは本当に驚いてしまいます。
優しさは街に溢れる動物にも向かいます。街を歩いていて出会うマルタ最大の“極楽者たち”は猫。自由に闊歩し、車のボンネットの上で寝ててもおとがめなし。マルタの人口40万人に対して猫は80万匹いると言われているのです。「猫協会」には世界中から集まるボランティアスタッフに見守られた400匹の猫がいました。そこで出会った何とも不思議な行動を取る猫ちゃんたち。
マルタには今まで今まで見たことのない、目を見張るような眺望が開けた海岸が沢山あります。透き通るような海と、乳白色の岩肌、そしてどこまでも光輝く太陽、3者が見事に調和するのです。気温は高いのにじめじめしてないからからっとしていて、涼やかな風に吹かれて海岸に降り立つとき、「本当にここは楽園かもしれない」と思います。岩が波と風でえぐられてできた青の洞門“ブルー・グロット”。ゴゾ島のシンボル、天然のアーチから紺青の海が覗ける“アズール・ウィンドー”。その他にもまだ誰にも見つかっていない海岸があるのかもしれません。旅の終わりは、知る人ぞ知るサンセットの絶景海岸・ディングリクリフに向かいます。出迎えたのは夕日に輝くかわいらしい草花。目の前には何とも素朴な調和を見せる野菜畑が広がります。世界中どこからでも見える太陽。ディングリクリフに色付き始めたオレンジ色の太陽は何か特別な光を放っていました。