毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回、旅はエストニアの首都タリンから。目に飛び込んでくるのは中世の雰囲気を残す、色とりどりの古い建物。優しい色合いに心が落ち着きます。路地で見つけた木工細工の店。店内には可愛らしい細工が並んでいます。エストニアは夏が涼しく冬が寒いため「木の年輪が美しい」のだそうです。日常で使うスプーンやバターナイフからお守りまで、どれも美しい年輪が生かされていました。「エストニア人は“森の民”なの」と教えてくれた店員さん。お薦めの絶景を尋ねると「ラヘマー国立公園」を教えてくれました。首都のけん騒を離れ、車でおよそ2時間、ラヘマー国立公園へ向かいます。ラヘマー巡るためガイドをお願いしたのがベテランのアンネさん。ラヘマーには「エストニアのすべての風景が、つめ込まれている」と教えてくれました。まずは、森の絶景を見に行く事に。ガタガタ道を車で走り森の奥へ…自分の足で更に奥へ。途中、ブルーベリーやキノコを摘んでいる人に出会いました。エストニア人にとって、「森」の存在がとても身近であることを教えてくれます。そして、行き着いた先は、緑に囲まれた小さな展望台。木々のてっぺんよりも少し高い場所から眺めるラヘマーの景色。それは太陽の光で輝くバルト海と、どこまでも広がる森でした。360度見渡す限り木々が連なる、緑の平原のような絶景。エストニアの人々が愛する森の絶景は、彼らの心のふるさとのようでした。
ベテランガイドのアンネさんとラヘマー国立公園巡り。次は海の絶景を目指します。カスムという公園内の村。エストニアで 一番“岩が多い村”なんだそうです。道の脇にも家のお庭にも、大きな岩がゴロゴロしています。村にある岩は「巨大な氷河にのって、氷河期にこの村に流れ着いた岩」なんだそうです。1万年以上もその場所にあり続ける岩。長い間、岩とともに暮らしてきた歴史が村に刻まれていました。やがて辿り着いたのは穏やかなバルト海の浜辺。浅瀬には、無数の巨石が連なっていました。まるで、小さな島々が海に浮かぶように…。夕日の傾きに合わせ、巨岩にさし込む光と、その陰のバランスがうつろって行きます。そして、連なる岩は陰に飲み込まれ、夕日が海に消える日暮れ時。海は、神話世界を思わせるようなドラマチックな絶景を見せてくれました。
ラヘマー国立公園を巡る旅、最後はガイドさんの知人を訪ねることに。そこは家族3人が暮らす森の家。先祖代々200年間、森に住み続ける一家。実は、戦時中のソ連支配で土地も一族の仕事も奪われてしまったとのこと。20年ほど前のエストニア独立の際、この土地を取り戻し、自由も手に入れたと言う言葉が印象的でした。今は自分の森で、食材を採ったり、冬を越すための薪を集めたり…。自分たちの森から恵みをもらって生活する喜びをかみしめていました。そこには、受け継がれていく家族の歴史がありました。 そして、森の家族に教えてもらった絶景ポイントへ。早朝から目指すのはヴィル湿原です。太陽が湿原を照らす一瞬の風景が絶景とのこと。そして、雲と霧の間から太陽が姿を現しました。木々の間に並ぶ湿原の水面(みなも)が1つ、また1つと朝の光を反射させ、木々の陰を映します。湿原の水鏡は、ラヘマーの朝を金色に光輝かせました。