「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#128 石の王国グレート・ジンバブエ(ジンバブエ) 2012/10/19 O.A.

石の家、ジンバブエへ

今回の旅は、アフリカ大陸の南部に位置するジンバブエ。ジンバブエとは現地の言葉で「石の家」を意味しています。首都ハラレにも石を削って作った彫刻があちこちに。市場を訪れると、薬屋ではなんと石がお腹の調子を整える薬として売られていました。彫刻だけでなく普段の生活にも欠かすことのできないほどの徹底ぶりは、まさに石のワンダーランド。しかもこの首都の中にも巨大な石のモニュメントが見られるとのことで、行ってみることに。チレンバと呼ばれるその場所に行くと突如現れたのは大きな岩がいくつも積み重なってできた、不思議な光景。これはバランシング・ロックと呼ばれ、その名の通りバランスよく積み上がった石の芸術は、なんと人の手ではなく、風化と浸食を繰り返して作られた自然のアートだそうです。ぼーっと眺めていると何だか岩が色んな形に見えてきました。飛行機や船、それに色々な動物や人の顔・・・さらに夕日に照らされることでまた違う表情を見せてくれます。様々な顔を持つジンバブエの石を探す旅が始まります。

緑豊かな広い平原、マトボ

首都を後にして南へ。ジンバブエのほぼ中央に位置するマトボにやってきました。ここは巨大な岩山に囲まれ、様々な野生動物が暮らす大自然の地だそうです。専門のガイドとサファリカーに乗り込み一緒に国立公園に入っていくと、キリンやカバ、様々な種類のサルに出会います。そんな野生動物の中でもガイドが特に私に見せたい動物がいるそうです。サファリカーを降り、徒歩でその動物を探していきます。やがて緑豊かな広い平原でのっそりと動く大きな岩のような動物がいました。サイです。親子3匹でお昼ご飯でも食べに来ているのでしょうか。その大きな体と優しい目。息づかいが分かる程近くで見たのは初めてです。ガイドの方が言うには、現在サイの角を狙った密猟が横行しているそうです。彼はガイド業の傍らサイを密猟者から守る仕事にも携わり、かつてマトボの地に溢れていた動物たちの楽園を蘇らせたいと言います。絶滅に瀕しているサイにとってこの子どもは、かけがえのない命なんでしょうね。石の森で出会ったサイの親子。なんだかとても温かい気持ちになりました。

黄金都市の遺跡、グレート・ジンバブエ

石の王国ジンバブエを巡る旅、そのハイライトはこの国の象徴とも言うべき石の大遺跡、グレート・ジンバブエです。13世紀から15世紀に掛けて繁栄を極めたかつての王国は、当時にしては高度すぎる建築技術などについて、未だ多くの謎が残るミステリアスな遺跡だそうです。セメントなどは一切使わず石を積み上げただけで作り出した王宮の城壁は11mにも達し、中に入ればその涼しさに驚きます。石の積み方が綿密に計算され、城壁の中に風が送り込まれるようになっているそうです。まさに天然のエアコン。見た目の素朴さ以上に、この城壁にはたくさんの技術と歴史が込められているんですね。やがて日が傾くと、灰色がかっていた城壁の色が美しい金色へと変わっていきました。なんでもここにはかつてたくさんの金が保管されていたそうです。地元の人たちにとっては、この遺跡は黄金都市の遺跡であり、ジンバブエの誇り。残照を受け、かつての王国の輝きが蘇ったような気がしました。