毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
アフリカ、エチオピアにやってきました。首都のアディスアベバで飛行機を乗り継ぎ北へ。やってきたのは、ラリベラというエチオピア第3の都市。ここは標高2000mを超す高原の街。車窓に映るのは牛や羊を連れた子どもたち。どことなく牧歌的な風景です。この街は美しい岩窟教会が立ち並ぶ聖なる街としても有名で、そびえ立つアシェトン山の頂上には「天国に一番近い教会」があるそうです。街はキリストの復活祭、イースターを迎え、市場にはその準備のために多くの買い物客が押し寄せています。ラリベラはエチオピア正教という独自のキリスト教を確立した聖地。天然の岩をくりぬいてできた数多くの岩窟教会を巡るのがこの街の楽しみ方。そして最後に向かったのは山の頂上に立つ「天国に一番近い教会」です。ラバに乗って2時間、3000mを越える山の頂に着く頃には夕暮れが近づいていました。素朴な教会の中には牧師さんが1人、私を温かく迎えてくれました。そして頂上から見た風景は、あまりにも神々しくて圧倒されそうでした。雲の隙間から淡い光が差し込むその風景を見ていると、まるで天と地の狭間に浮かんでいるような気分になりました。
次に向かったのは、北部を代表する絶景の大地、ダナキル砂漠です。そこは海抜以下に位置し、なんと摂氏50℃を越す世界で一番暑い場所なんだそうです。不安と期待を胸に4輪駆動車を走らせると、室内の温度計はみるみる上がっていきます。ついに40℃を越えました。16時間の長旅の果てに着いたのは、砂漠に囲まれた小さな村でした。こんな極地にも人々の営みがあるんですね。彼らは言います「ここが私たちが生まれた場所だから・・・」酷暑の中、人々は笑うことを忘れず、支え合いながら暮らしていました。そして村人に教えてもらった夕日の絶景を見に近くの湖に向かいました。そこはアサレ塩湖といい、純度100%の塩水でできた湖だそうです。そして夕暮れの時間になると、現れたのは2つの夕日。湖にくっきりと写し出されたもう1つの美しい世界に、暑さも忘れ、ただただ見とれてしまいました。
最後に目指すのはダナキル砂漠最大の絶景、エルタ・アレ火山です。100年以上も噴火を繰り返し、絶え間ない火山活動でできた迫力のある風景だそうです。麓に着くと、足下には真っ黒な大地が広がります。これは近年の噴火活動で流れ出した溶岩そのものだそうです。50℃近い猛暑の中、歩けるのは一度に100mほど。わずかな日陰を求めて倒れ込むように休み、そして再び歩き出します。そして4時間後、ようやく火口にたどり着きました。しかし火口からは不気味な煙が立ち上るだけで、まだ活動していないようです。なんでも絶景のショーが始まるのは夕日が落ちてからだとか。待つこと1時間、次第に溶岩の動きが激しくなりました。さらに1時間、暗闇の中、激しい音とともに溶岩が噴き出しました。これが生きた地球の姿。まるでその内部を見ているような、不思議な絶景です。