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地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回はベトナム中部の旅。まずは首都ハノイから夜行列車に乗って古都フエに向かいます。国土が縦に細長いベトナムを走るのは全長1726キロにも及ぶ「南北縦貫鉄道」。沿線には世界遺産をはじめ、いくつもの歴史的町並みや絶景が点在しています。列車では乗り合わせた人たちとの出会いを楽しみながらフエに到着です。
列車を降りたらシクロで王宮へ。フエはベトナム最後の王朝が栄えた町。途中には歴史的な建物を多く見ることができます。王宮に足を踏み入れると、そこは王朝時代の息づかいを今も感じられる不思議な空間が広がっていました。そして市の郊外、しっとり雨にぬれたアンヒエン庭園へ向かいます。フエは庭園の都とも呼ばれ、王朝時代に貴族たちの間で競って造られた華やかな庭園がいくつも残っています。ここはベトナム各地の植物を集めて造園がされたそうです。町外れにひっそりと残された庭園にたたずむと、往時の文化水準の見事さを語りかけてきます。
次に向かったのは車で3時間ほどの古都ホイアン。昔ながらの町並みがいまも残されています。いたるところに名物の提灯がかかげられ、中心には、かつて交流が盛んだった頃に日本人によって造られたともいわれる日本橋(来遠橋)があります。ここでは月一度、旧暦の14日の夜に、町中の電気を消し、提灯明かりだけで過ごす、提灯祭を行っていました。夜7時、町の明かりが消されると、そこには昼間の町の表情とは全く違う、ホイアンの別の顔が浮かび上がります。川に流される提灯舟は先祖の弔いのため。軒先に飾られた提灯はかつて栄えたころのホイアンの夜を忘れないため。その風景はどことなく懐かしく、夏の夜にとけていきました。