「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#105 火と風の大地 カナリア諸島(スペイン) 2012/5/11 O.A.

グラン・カナリア島の砂丘、マスパロマス

スペイン本土から1100キロ離れた大西洋に浮かぶ、7つの島からなるカナリア諸島。年間を通じて穏やかな気候であることから"常春の楽園"と呼ばれています。
旅の初めにやってきたのは諸島の玄関口、グラン・カナリア島です。ビーチで出会った地元の人から、この島のバナナは名物だと教えてもらいました。さっそく農園を探しに出かけると、バナナ農園を経営しているマノロさん夫妻に出会いました。除草剤を使わず手で雑草を抜き、葉っぱを一枚一枚間引いたりという自然栽培にこだわるお二人のバナナが、まぶしい太陽の下でたわわに実っていました。
奥さんのカルメンさんに薦められて、島の南端にあるマスパロマス海岸の砂丘を見に行くことにしました。実はこの砂丘は、海の向こうのサハラ砂漠から砂の塵が風に運ばれてやってきて、長い年月を重ねてできたのだそうです。海岸には、黄色い砂の壁がどこまでも続いていました。

テネリフェ島の火山、テイデ

次に向かったのは諸島最大の島、テネリフェ島です。
世界遺産の町、ラ・ラグーナで島の伝統を守る機織り職人のホアンさんに出会いました。ホアンさんがおもしろいものを見せてくれるということでご自宅の屋上にお邪魔しました。それは屋根瓦の間に生えるベローデという植物でした。風が種を運び、わずかな土に自生するのだそうです。小さな命に、こめられた島人の想いに触れることができました。
続いて、ガイドのレティシアさんに案内されてテイデ国立公園へ向かいました。ここにはスペイン最高峰であり、世界で3番目に標高が高い火山のテイデ山があるというのです。ケーブルカーで向かった先にはごつごつとした溶岩の道が続きます。レティシアさんが言うには、カナリア諸島の島は海底火山の噴火によって形成されたのだそうです。そして先住民はテイデ山を悪魔が住む山として恐れていたそうです。辿り着いた先にはぽっかりと口を開けた噴火口が見えました。

ラ・ゴメラ島の海岸から眺める夕日

最後に訪れたのは、お隣の島、ラ・ゴメラ島です。
ここではダビッドさんという指笛が上手な青年に出会いました。ダビッドさんはお父さんのセバスティアンさんと一緒にヤギ飼いをしているのだそうです。早速、ダビッドさんのご自宅にお邪魔させていただくと、牧場は岸壁の斜面にありました。崖の下にいたセバスティアンさんへ、ダビッドさんが指笛を鳴らします。なんと指笛は、携帯電話の届かないこの地域では情報を伝達するために日常で使われる手段だったのです。
ダビッドさんが最後に、見て行って欲しい場所があると言って案内してくれました。そこは、ダビッドさんが毎日来ているという海岸でした。ダビッドさんいわく、ここから見る夕日は島人たちの元気の源。目の前に現れたのは、赤く染まっていく岸壁と、力強い太陽の輝きでした。