「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#104 中世の原風景を巡る スカンノ(イタリア) 2012/5/4 O.A.

フィレンツェ

今回の旅は「イタリアの背骨」と呼ばれるアペニン山脈の麓を巡る旅。出発はフィレンツェから。まずは、フィレンツェの象徴、ドゥオーモへ。狭い階段を上り、街を一望できる展望台へと向かいました。そこから見える赤い屋根の建物で埋め尽くされた街は、中世の佇まいを残す建物が多く残っています。
そのドゥオーモの近くに1台の馬車が止まっていました。フィレンツェの街を30分かけて案内してくれる観光馬車です。ヴェッキオ橋や1200年代の教会などの名所を巡ります。フィレンツェがあるトスカーナ地方は食材の宝庫。地元の人たちで賑わう市場では、色とりどりの野菜や花が売られていました。中でもお肉屋さんではチーズなどの乳製品も豊富。陽気なご主人によると、アペニン山脈の麓の小さな町では、観光ガイドにはない、小さな町が点在しているとのこと。今回の旅はアペニン山脈の小さな町の絶景を巡ることにしました。市場を出るとフィレンッエは夕暮れ。ミケランジェロ広場から見る街は絶景とのこと。春霞に包まれるフィレンッエの街とアペニン山脈から続く山並みが、とてもすてきな風景でした。

サン・ジャミニャーノ

フィレンツェを出てまず向かったのは、中世の面影が色濃く残る町、サン・ジミニャーノ。町は城壁に囲まれた狭い町です。この町ではいたるところに塔が立っています。実はこの塔は、権力の象徴だったとか。塔の近くのバーを訪ねると、今でも塔に上れるとのこと。早速、登ることにしました。登ること10分、てっぺんには釣り鐘がありました。塔は時刻などを知らせる役目もあったのです。そして眼下には狭く小さいサン・ジミニャーノの町が、その奥には、雄大なトスカーナの土地が広がっていました。地元の人の案内で、 サン・ジミニャーノの人だけが知る、絶景の場所へ連れて行ってもらいました。 その絶景は夕暮れに現れます。町にいくつも立つ塔と城壁に囲まれた町がシルエットになる瞬間。オレンジの夕空と黒い影のサン・ジミニャーノの町が影絵のような風景を作り出していました。

スカンノ

アペニン山脈を巡る旅。州を越えて南へ下りアブルッツォ州へ。アペニン山脈の山々が 間近に迫ります。着いたのは、アブルッツォ国立公園の中にある町、スカンノ。 山に向けて町がせり上がるように家々が並んでいます。この町は世界遺産にも登録されています。冬は雪深く、アペニンの山々に閉ざされてきたため、古い伝統が今も残っています。その一つが金細工。過去、ローマ法王の王冠にも用いられたほどの精巧な金細工です。スカンノでは結婚するとき金細工を花嫁に贈るのが慣わしです。今でも代々金細工を受け継ぐ家族を訪ねました。そして夕暮れには、町の街灯にオレンジの灯りがともります。まるで小さなローソクを並べたような暖かい色合いのスカンノが浮かび上がりました。 ひっそりとアペニン山脈の麓で伝統を守り続けた町スカンノ。夕闇に浮かぶ町の姿は、小さくも、幻想的な絶景でした。