毎週水曜 よる10時放送
260年の長きに続いた江戸の世。その終焉の時を人は幕末と呼ぶ。では、幕末とはいったいどこで終わったのか?江戸はどこでピリオドがうたれたのか。それは大政奉還の時か!江戸城無血開城か?それとも戊辰戦争・会津落城の時か?否。幕末に終りを告げ、新たな時代の幕開けとなるライバルたちの戦いがあった。今回は旧幕臣榎本武揚と新政府軍黒田清隆にスポットをあて旧幕府と新政府軍の最終決戦、そしてその後の二人を追ってみましょう。
榎本武揚はなんとかなりのエリート。語学に優れ、なんと七ヶ国語も話せたとも言われています。さまざまな国をめぐり機械学から最新化学までありとあらゆることを学び、そして日本の未来に役立てようとした榎本。しかし、当時将軍の徳川慶喜が大政奉還。さらに薩長が倒幕をかかげ幕府を脅かしてゆきます。その中の一人が黒田清隆でした。黒田は西郷隆盛、大久保利通など幕末の志士が多く集まった下鍛冶屋町付近で生まれました。西郷を兄と慕っていた黒田は旧幕府を追い込んでゆきます。そしてたどり着いた蝦夷共和国で榎本武揚と黒田清隆は出会います。
旧幕府最後の砦、蝦夷共和国。フランス行使ブリュネのおかげで榎本率いる旧幕府軍は新政府軍との戦いに挑みます。しかし、すでに旧幕府軍の生き残った数はのこりわずか…そのとき榎本はある行動に出ます。それは榎本が肌身離さずもっていた海律全書です。前頁オランダ語で書かれた本をなんと新政府軍に送ったのです。「自分が死んでもこれからの日本のためにこれは必要だ」しかしこれをみた新政府軍は驚きます。これほどの学識をもった人をここで殺してしまうのは間違っているのでは・・・そこで黒田清隆はござをしき、マグロやするめ、そして酒を用意し榎本武揚との会談に臨みます。そして榎本武揚は自分を殺し、ほかの者を助けてほしいと黒田にお願いします。「榎本さんこそこれからの時代に必要な人物。その命私がすくいもんそう」そして榎本は降伏を受け入れ江戸時代にピリオドがうたれたのです。
榎本は黒田のおかげで新政府の一員となります。そして当時日本が抱えていた外交問題を得意な外国語で日本を救ったのです。さらに黒田清隆が第2代総理大臣の座に上り詰めたとき支えたのはいくつもの大臣を歴任した榎本でした。さらに明治32年には榎本の息子と黒田の娘が結婚。二人の交友は、ついに血縁関係にまで発展したのです。
最終的に生き残った榎本武揚が、明治政府に入って高官をやるというのが、子どもの頃からずっと、妙な違和感を感じていまして、それでいいのか?と思っていました。しかし、今日改めて、詳しく話を聞いてみると、この榎本の才能を、明治政府で生かすことができたのだから、生きていてよかったと。なので、様々な逆境の中、耐えて生き抜いた・・・榎本武揚!