#26   「本能寺の変」  2013年4月3日放送

#26「織田信長 VS 明智光秀」

#26「織田信長 VS 明智光秀」
#26「織田信長 VS 明智光秀」

天正10年6月。歴史を動かす大事件が起きました。 「敵は本能寺にあり!」明智光秀の声が響きわたり、炎に包まれる本能寺。狙われたのは、魔王、織田信長。「人間50年もはやこれまで…」信長は燃え盛る炎の中で自刃。戦国最大のターニングポイントとなりました。仏も朝廷も否定し、己が神となって日本の在り方を根底から変えようとした風雲児信長。そしてそれとは反対に信長に尽くし家臣筆頭に駆け上りながら、天下の謀反人となった光秀。まさに2人は今も語られる永遠のライバル。「本能寺の変」が起きた理由は、一般的には怨恨説がもっとも有力とされてきました。しかしもし二人の衝突が、実は陰で巧妙に仕組まれたものであったしたら…!?それを仕組んだのは戦国大名か、将軍かはたまた朝廷だったのでしょうか。戦国史最大のライバル対決。その真相に迫ります。

信長の野望

天下に王手をかけていた信長はある人物と出会います。イエズス会の宣教師ヴァリニャーノじゅんさつし巡察師の召使いとして引き連れていたモザンビーク出身の黒人の男弥助でした。信長はその弥助から、イエズス会の宣教師が話したがらない事実を聞き出します。世界を脅かすポルトガルやイスパニアはアフリカやアメリカ大陸で莫大な金銀財宝や奴隷を奪い取りいまや世界を二分しようとする両国は、領土はそれほど広くなく、特にポルトガルは日本の三分の一ほどで信長が支配している所領とさほど変わらないということ。信長は南蛮の船や大砲を作る技術を手に入れれば、日本から唐・てんじく天竺・南蛮に討って出ることもできるはずと考えていました。信長は狭い日本での戦いは一刻も早く終わらせようとていたのです。信長は戦国の世で誰よりも早く海の向こうを見ていたのです。天下をとるための一歩、それは朝廷の存在でした。

#26「織田信長 VS 明智光秀」

光秀の野望

明智光秀は織田信長の筆頭家臣と知られていますが、じつは室町幕府足利義昭の家臣でもありました。光秀は朝廷との関わりも強くそのため、天下は帝のものと考えていました。しかし時は戦国時代。天下を狙う戦国武将たちの中でもっとも天下に近かった男織田信長に仕えてから人生が大きく変わります。信長のやり方はあまりに残酷で非道。比叡山延暦寺や恵林寺の焼き討ちや織田家を支えた重臣でも信長の勘気に触れれば裸同然で追放されル非道な行為。光秀には仏も神も恐れぬ信長のやり方は、すべてを受け入れることはできないものだったのです。「信長様は…鬼なのか…」

朝廷の野望

今回のライバル対決にはキーポイントとなる人物がいました。時の関白近衛前久です。 当時勢いが凄まじい信長を前久は早急に止めねばならなかったのです。実は信長は朝廷を踏み越えるために、驚くべき策を考えついていました。なんとゆうし猶子としたごのみや五宮を天皇に即位させ、みずからは上皇として、朝廷の上に立とうと画策していたのです。信長はみずからが頂点になりすべての権力を握る新しい国造りをしなければならないと考え、既存の権力システムの象徴である朝廷は踏み越えなければならいと考えていたのです。信長如きに、朝家を汚されるのはなんとしても阻止せねばならない…前久は光秀を呼び寄せてある計略を打ち明けます…「時は…今だ…!」

そして運命の時が訪れます。天正10年6月。

中国攻めをめざし丹波亀山城を出陣した明智軍が桂川を渡ったところで、光秀の声が響き渡ります。「今宵、織田信長を誅す。敵は本能寺にあり」光秀率いる1万3千の兵が、本能寺になだれ込んで行ったのです。人々の運命が交差したとき、本能寺の変を生んだのです。

高橋英樹の軍配は…

信長の生まれ変わりのわたしに、どっちに軍配をと言われても困る話なのですが、生きざまの好き嫌いで考えさせていただくと、やっぱり・・・織田信長! でも演じようと思うのは、今からだったら明智光秀ですね。光秀の心の変化、心の動き、最後に至るまでの葛藤。その部分の面白さというのは、演劇でも映画でもなかなか描かれていない。役者としては、光秀は演じてみたい人間ですね。

高畑百合子

高畑百合子が見た“ライバル対決”

始めての放送、始めての歴史番組。
歴史について楽しそうに話している人たちを見て、私も仲間に入れたら面白そうだなー・・・とは思っていたものの、何しろ歴史とはほとんどかかわらずに、ここまで来てしまった為に、歴史を好きになる、きっかけすら掴めずにいました。この番組を通して、歴史の扉を開けつつ、その先にある面白さを追求する旅を、皆さんとしていきたいと思います。
今回の信長と光秀の関わりを見ていくにつれ、信頼と憎しみ、忠誠と裏切りは紙一重ということを、まざまざと感じました。世の頂点に立つ者あれば、足元をすくう者あり。そして、その足元を一番よく知っているのは、一番近くにいる人物なんだあ・・・とその皮肉さを見た気がします。