#83 「絶海に浮かぶ頂きへの道 利尻山」(8月8日 放送)
北海道の北部、利尻島にある日本百名山最北の山、利尻山。
標高1721mであるが高緯度に位置するため、本州の3000m級の山に匹敵する植物相と風格を持つ。
「利尻」はアイヌ語の「リイ・シリ」に由来し、「高い島」という意味である。
その名の通り、島全体が山のように見え、深田久弥はその山容を「島全体が一つの頂点に引きしぼられて天に向かっている。こんなみごとな海上の山は利尻岳だけである」と称賛した。
また、海上に浮かぶ円錐形のシルエットはその山容の美しさから別名「利尻富士」と呼ばれる。
この山に向かうは、ボートレーサーの菊地孝平・茅原悠紀選手。
共に「登山が趣味」と話すボートレース界の頂点に立つ2人が最果ての富士の頂点に挑む。
【 ロケ日: 7月7日~7月12日 】
稚内から西へおよそ50km。最北の絶海に浮かぶ利尻山。真っ青な利尻ブルーの海の上に左右のびのびと稜線をひいた美しい山容をもち、高緯度ゆえの独特の自然環境が広がるこの山には、夏のこの時期、固有種の花々も咲き誇る。
古くから海上の安全や豊漁を祈願し登られてきた山頂への道のりは傾斜30度を越える急登が続く。足元には火山活動によって噴出されたスコリアという軽石が広がり、なかなか思うように歩を進められない菊地と茅原。また、シベリアから吹きつける風が容赦なく二人の体力を奪っていく。
絶海に浮かぶ頂への道を、一歩、一歩積み重ね、二人は頂に立つことはできるのだろうか。
利尻山には水場がなく、その上、避難小屋しかないので、山行時の飲料水は全て自分たちで荷揚げしないといけません。山を知り尽くしたガイド渡辺さんと入念な打ち合わせをした結果、1人、登山の水分3リットル、食事用に2リットルの計5リットル持ってあがることに。
全体の荷物量を考えただけでも目眩がしそうなところへ渡辺さんより「ワインも持ってあがりましょう。登山で疲れた体にはきっと美味しいですよ」との伝令が。 思わず「はい!!」と答えてしまった自分を呪うのに時間はかかりませんでした。
ワイン分の重量が加算されたザックを背負った自分は、撮影と山行でへとへとになり、わざわざ歩荷したワインが一口も飲めなかったことは言うまでもありません。