#63 「威厳と豊穣の山 越後駒ヶ岳」(12月20日 放送)
豊かな米どころ、新潟県魚沼地方で古くから人びとの崇敬を集めてきた名山が越後駒ヶ岳(標高二〇〇三m)です。
八海山、中ノ岳とスクラムを組むようにそびえ立つ姿は「越後三山」と呼ばれ、
中でもその威風堂々とした山容から越後駒ヶ岳は三山の盟主と謳われてきました。
日本屈指の豪雪地帯にあり、冬に山を覆う雪が春から夏にかけて麓をうるおし、
それが美味なる米と銘酒を生みだしました。
【 ロケ日: 11月5日~11月8日 】
越後駒ヶ岳の山腹には、ノミでえぐったかのような造形がみられる。これは「アバランチシュート」と呼ばれます。アバランチとは「雪崩」のことで、山に積もった雪が雪崩を繰り返し、それが何万年もの歳月をかけて、深く険しい地形が創り出されました。
この山を愛する地元の人びとは「越後駒ヶ岳は谷筋にこそ、その核心がある」と口を揃えて語ります。
11月の始め、麓ではこれぞ日本の原風景といった「晩秋の山里の風情」を見せますが、越後三山の頂ではすでに冠雪をみせ、ひとあし早く、厳しい冬が訪れます。
今回、越後駒ヶ岳を登るのは女優の春馬ゆかりさん。麓から頂を目指し、「秋から冬へ」その端境を行き来することになりました。
今年の春に社会人となった私。
初めてのロケ!初めての登山!初めての山小屋!越後駒ヶ岳で初めてづくしの体験が続きました。
11月とは思えないポカポカの陽気、生い茂るたくましい樹木、雄大に広がる景観…
なぜもっと早く登山に出会わなかったのか!
しかし、徐々に風景を楽しむ余裕がなくなり、何度も繰り返されるアップダウン、
山頂付近の猛吹雪と心が折れそうになり…いや、折れていたかもしれません(笑)
山の素晴らしさと厳しさの両面を知った登山でした。なにもわからず手探り状態で始まったロケでしたが、
初めてのロケ・登山デビューが越後駒ヶ岳で良かったと思えたのは確かです。