#48 「花に酔い山を歌う くじゅう連山」(7月5日 放送)
1700メートルを越える個性的な山々が9座ひしめき並ぶくじゅう連山。活発な火山活動によって広大で懐深き山域は生まれた。くじゅうほど表情豊かな山はない。今も白い噴煙を吐き出し続ける硫黄岳、ピラミダルな美しい山容を誇る主峰・久住山、4つの頂きを持ちどの方角からみても3つのピークが見える三俣山、九州本土最高峰の中岳…その様を日本百名山の深田久弥は『九重共和国』と表現した。
この山で生まれた歌がある。「坊ガツル賛歌」。1978年に芹洋子が歌って大ヒットしたが、元は広島高等師範山岳部部歌を、くじゅうを訪れた九州大学の学生たちが即興で作った替え歌だった。くじゅうは万葉の頃から歌に詠われ、近代に入っても、与謝野鉄幹・晶子夫妻、北原白秋などの文人たちがくじゅうの魅力を歌った作品を残してきた。
今回くじゅうを目指すのは女優の西尾まり。かつてヒマラヤなど本格的登山を経験した彼女だが、10数年のブランクを経て挑んだ本格的登山で、高みを目指すだけでない新たな山の楽しみを知った。
【 ロケ日: 6月15日~17日 】
★ ミヤマキリシマ
「坊ガツル賛歌」の2番、初夏のくじゅうを歌った歌詞にミヤマキリシマが登場する。
毎年6月、くじゅうの山並みはピンクの絨毯を敷き詰めたようにミヤマキリシマが咲き誇る。国の天然記念物に指定される見事な群落だ。
★ 法華院温泉山荘
かつてくじゅうは修験仏教の聖地だった。中世には山中に多くの修験寺院が並び、法華院もそのひとつだったが、明治期に火災で焼失してしまった。その後、日本に近代登山が息吹始めたこともあり、温泉を持つ山小屋として再スタートした。自らの足でたどり着かねばならない標高1303メートルの地ながら、温泉を味わうために多くの人が訪れる人気の山小屋となっている。
★ 坊ガツル湿原
標高1250メートル前後の湿原盆地で、「坊」は僧や宿坊の意味でツルは「水が流れるところ」を意味する。毎春の野焼きによって維持されている湿原で、豊かな植生を保ち、ラムサール条約に登録されている。
雨男で坊主頭のスタッフがロケに「てるてる坊主」を連れて来た。
梅雨入りしたこともあり、この雨男の負の力がザックに付けられた「てるてる坊主」の効力を上回る…
というのが大方の予想。しかし、何が起こるか分からない。
どっちの坊主が山の天気に影響を与えたのかは番組を見てご確認ください。