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#32 「雪煙舞う厳冬の安達太良山」(1月25日 放送)

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「阿多多羅山(あだたらやま)の上に 毎日出てゐる青い空が 智恵子のほんとの空だといふ。」

安達太良山は、高村光太郎の『智恵子抄』に歌われたことで広く知られるようになりました。

南北9キロに渡って連なる安達太良連峰のひとつで、標高は1700メートル。なだらかに美しい稜線を引き、山頂には突き出た岩峰があるため遠目には女性の乳房のようにも見え、別名「乳首山(ちちくびやま)」とも言われています。

智恵子のふるさとの山であり、また、そのたおやかな山容から女性的なイメージを持たれる山ですが、実際に登って見るとまた別の姿を見せます。北西からの季節風が遮られることなく吹き付けるため、この時期の稜線は突風が吹き荒れます。また、連峰の山頂部には大きな火口跡があり、荒々しい景観が広がっています。安達太良山は火山活動によって生まれた山で、最近では明治時代に爆発を起こしています。

厳冬期の安達太良山を雪山初挑戦の女優の春馬ゆかりさんが目指します。雪の状態を見極め、アイゼンとスノーシューを履き替えながらの山行となりました。

【 ロケ日:2013年12月25日~28日/2014年1月5日~7日 】

見どころ
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突風吹きすさぶ稜線には「モンスター」と呼ばれる樹氷など氷雪の造形物が多数見られます。白一色の雪山の中に現れる自然の芸術は、山の表情を豊かにします。

安達太良山は寒く厳しいだけではありません。全国でも珍しい、火山の恵み「温泉」が湧く山小屋「くろがね小屋」が登山者たちを温かく迎えます。硫黄の匂いのする乳白色の湯は、単純酸性泉。温泉ソムリエの資格を持ち、温泉レポーターとしても活動する春馬ゆかりさんが、山腹の温泉を堪能します。


取材後記
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目の前にいたカメラマンが視界から急に消えた時、それが今回のロケにおける
ある意味クライマックスだったかもしれません…。

新雪がふかふかに積もった場所では度々膝まで埋まり、そうなると、足を雪から抜くのに一苦労です。
そんな中、ようやくくろがね小屋に到着しようかという直前、その時が訪れました。
山に精通しもちろん雪山にも慣れたカメラマンが視界から消えたのです。

少し目線を下げると、そこには様々な条件が揃って作られた天然の落とし穴。
その中に、膝どころか全身が雪に埋まったカメラマンの姿が。
驚きや心配の声と、笑い声が安達太良山に響きました。

全身を雪に埋めても骨を埋めることなく、全員が無事に帰ることができて良かったです。