#28 「桜色に輝く霧氷の森 大台ヶ原」(12月21日 放送)
大台ヶ原山はこの国で古くから開けた大和国と伊勢国の境に連なる台高山脈にあります。
山頂は広い平原状で、いくつかあるピークのうち最高峰は日出ヶ岳の1695メートルになります。標高はさほど高くはありませんが日本屈指の降水量を誇り、豊かな水が様々な表情を持つ独特の景観を生み出しました。
大台ヶ原に降り注いだ雨はいくつかの清流となって流れています。東の伊勢湾に注ぎ込む宮川は上高地の梓川に匹敵する透明度を誇るといわれます。江戸時代、この宮川沿いの渓谷・大杉谷からは、伊勢神宮で20年に1度行われる「式年遷宮」のための用材を伐り出していました。今年「式年遷宮」を迎えたお伊勢様ゆかりの山を、女優の春馬ゆかりさんが歩きます。
【 ロケ日:11月10日~15日 】
深いV字渓谷を刻む宮川沿いの登山道は絶壁に沿い、アップダウンを繰り返します。エメラルドグリーンに輝く川面と紅葉のコントラストを楽しみながらの山行で今回の旅は始まります。100メートルを超える落差を誇る滝が連続する大杉谷は、神秘的な緑の峡谷です。
日出ヶ岳山頂へのアプローチに入ると、急登が連続し、景色もがらっと変わります。山の木々は、気温が氷点下となり深い霧に包まれた時に発生する霧氷をまとい、さながら吉野の千本桜を思わせる、奇跡の絶景を生み出しました。
奈良で育った私は久しぶりの帰郷に心を躍らせ、関西人であるという自我を甦らせしつつ、今回のロケに臨みました。
嵓(くら)と呼ばれる大きな岩、様々な色を見せる川や森に、多くの伝説が残る大台ケ原山の奥深さを感じました。
雨で滑り、雪で滑り、会話で滑るも、精神的な怪我以外せず無事に下山できて良かったです。