#24 「憧憬(どうけい)の天貫く頂 北アルプス槍ヶ岳」(11月9日 放送)
槍ヶ岳。その名の通り天に槍を突く形が特徴の山。標高3118メートル、日本第5位の高峰である。三千メートル峰を十座抱える北アルプスにおいても、槍ヶ岳の威容は一際目を引く。
今回、この名峰の頂を目指すのは、登山家の鈴木昇己(すずき・しょうみ)さん。1983年、日本人初の無酸素エベレスト制覇など、世界の高峰を舞台に数々の偉業を成し遂げてきた日本屈指の登山家である。江戸時代の終わり、初めて槍の穂先に立ち、日本アルペン界の祖とも言われる念仏僧・播隆上人へ思いを馳せながら、頂を目指す。
穂高連峰と槍ヶ岳を結ぶ稜線に立ち塞がる「大キレット」という難所を越える。ナイフエッジと呼ばれる切り立った細い岩稜が続く。
赤く色づいたナナカマドや黄色いダケカンバなど鮮やかな紅葉を楽しみながら天狗池へ。水面には槍の穂先を映す。槍の穂先には、ハシゴが架かった一般ルートからではなく、高いクライミング技術を駆使し、ロープによる登攀を試みる。
初めてADとして参加したロケが、いきなり、日本のマッターホルンとも呼ばれる槍ヶ岳!実は、その槍の姿を見るまでが長い道のりで(姿が見えてからも大変な道のりでしたが)、綺麗な紅葉に心を癒してもらいながら、なんとか登ることができました。
実は高所恐怖症の私、鎖場などの崖ではへっぴり腰で三脚を運ぶのも一苦労。カメラが回っているので声には出さず、心の中で泣き叫ぶばかり。一方、今回の旅人の鈴木さんはどこでも軽やかにひょいひょいと登って行きます。日本を代表するクライマーのすごさに驚くばかりでした。
ロケ中は天気が良い日が何日も続き、普段は日に当たることのない鼻がロケが終わった時には真っ赤でトナカイ状態。早すぎるクリスマス気分に浸ることとなりました。