#16 「地獄と浄土の霊峰 立山」(8月24日 放送)
富山県東部にそびえる霊峰、立山。
主峰雄山(3,003m)をはじめとして、県最高峰の大汝山(3,015m)、富士ノ折立(2,999m)の3つの峰々からなり、その標高から夏でも雪が残る。死後の世界を象徴する山として古くから人々に畏れられ信仰されてきた。
旅人は冒険家、三浦豪太。今年の5月、80歳の父 雄一郎とともにエベレストの登頂に成功したことは記憶に新しい。世界の名峰を征服してきた山の男が信仰の山で出会った絶景とは…。
立山といえば観光地としてのイメージが強いかもしれません。しかし古代の日本人は死後、魂が行き着く場所として荒涼たる景観を持つ立山を信仰の対象としてきたのです。
今回、この立山に登るのは、今年の5月、父 雄一郎とエベレストの登頂に成功したばかりの三浦豪太さん。その豪太さんにとって立山は登山家としての自分を見出すきっかけとなった思い入れのある山でした。
登山口では硫黄噴き出す地獄谷の異様な情景が三浦さんを圧倒します。まだ雪の残る山道を経由し、標高差600mほどの急斜面の「大走り」を登り、富士ノ折立、富山県最高峰の大汝山、そして立山信仰の拠点である雄山山頂をめざし縦走します。稜線には広大な北アルプスが広がり、剣山のように鋭く尖った剣岳が臨めます。また眼下には水面がきらきらと照りだされた黒部ダムが…。さらに梅雨の明けていない北陸において希少ともいうべき雄山からのご来光もご紹介いたします。
北陸は梅雨がまだ明けておらず、週間天気予報を見るたびに不安な気持ちになりましたが、山に愛されている三浦さんのお陰でしょうか、カメラが回ったとたん雲がかっていた山の稜線が冴え渡るように晴れ始めました。
極めつけの御来光ですが雲海から顔を出した幻想的な様子に魂が打ち震える思いがしました。
富山県庁をはじめ地元のガイドさんなどとても協力的で撮影スタッフにも恵まれました。
まさに奇跡と幸運が続いた撮影だったと思います。