#15 「北の王者 大雪山旭岳」(8月17日 放送)
「富士山に登って山岳の高さを語れ。大雪山に登って山岳の大きさを語れ」
これは、明治・大正時代に活躍した紀行作家・大町桂月が大雪山を踏破し、書いた紀行文の一節です。大雪山とは、主峰・旭岳を含む2千メートル級の山々が連なる広大な山塊を指しています。雄大、かつ、原始の姿を留める山域は、アイヌの人々によって「カムイミンタラ」、神々の遊ぶ庭と呼ばれ崇敬されてきました。
時に秘境と呼ばれる場所まで足を運び、全国の名湯を紹介してきた「温泉ソムリエ」という一面を持つ女優の春馬ゆかりが、偉大なる大雪山に挑みます。
大雪高原温泉を登山口に選び山へ。本格的な夏を迎えても消えることのない雪渓を渡り、巨大な岩が立ちふさがる急登を超え、天空のお花畑にたどり着きます。大雪山上では、短い夏の期間に、チョウノスケソウ、コマクサ、イワウメ、チングルマなど、数多くの高山植物が一斉に咲き誇ります。
2千メートルを超えるピークをいくつか越えると、御鉢平へたどり着きます。周囲11キロにもおよぶこの巨大なクレーターは、かつてここに成層火山があったことの証です。御鉢の稜線を歩いていると、眼下にヒグマの姿を見ることができました。アイヌの人々にとっては「神の使い」あるいは「神がもたらしてくれた恵み」であった大雪山の主です。
旭岳山頂直下のテント場で一夜を明かし、いよいよ北海道最高峰へ。夜明け前、アイスバーンと化した雪渓の急登を登り切った時、目の前には神秘的な景観が広がっていました。
ADとして同行した私は機材に登山用品、スタッフの食料や水を登山リュックに詰め込みました。
リュックはその容量をゆうに超え、パンパン状態・・・。これにカメラ用三脚を担ぎながらの登山になります。
“山頂まで持っていけるのか?”との不安は見事に的中。登山が始まるや否や険しい登山道に疲労困憊・・・。
途中、積極的に補充用の水をスタッフに勧めたのは、少しでもリュックを軽くしようと目論んだからでした(笑)
旭岳でのテント泊では、日中の暑さとは一転、非常に寒かったです。
深夜、寒さからか疲労からなのか、もはや分からない状態の震える体にムチを打って
日の出を見るために山頂を目指しました。
旭岳山頂から眺める朝日も最高に綺麗でしたが、山頂で飲んだ味噌汁は凍える体に染みわたり、
生涯で一番美味しいお味噌汁になりました。