#14 「マグナに立つ 八ヶ岳連峰硫黄岳」(8月3日 放送)
長野と山梨の県境、なだらかな裾野と荒々しい頂きを合わせ持つ八ケ岳連峰。明治時代、この地を訪れたドイツ人地質学者のナウマン博士は、八ケ岳と南アルプス一帯の風景から、その地底に巨大な溝「フォッサマグナ」があることを発表した。
地球規模の胎動から生まれたフォッサマグナ。その大地の裂け目に屹立する八ケ岳。連峰第4番目、標高2760メートルの硫黄岳頂上付近には八ケ岳誕生の姿がむき出しのまま残されている。
6月の慈雨の頃、旅人宮下純一は硫黄岳を目指し、緑萌える原生林を出発。濃霧の森林限界の先には息を呑む絶景が待っていた。
苔むす原生林の深い緑、それを映しこむ幻想的な池。いずれも豊かな水が作り出した素晴らしい風景です。
しかし、その自然は時に猛威となり、旅人の前に立ちはだかります。止まない雨、吹き付ける風、薄くなる酸素。その先に姿を現した硫黄岳の爆裂火口に、原始八ケ岳の雄たけびを見ました。
わずか数日の登山の道すがら刻一刻と変わり行く風景は、人をひきつけて止まない八 ケ岳の魅力を垣間見せてくれました。
梅雨前線とにらめっこ、週間天気予報に一喜一憂の日々でしたが、撮影スタッフのがんばりと旅人宮下さんの粘り強さに助けられ、頂上ではまたとない朝日を眺めることができました。
また山岳ガイドさんや山小屋のご主人にも多くを教えていただき、体で丸ごと八ケ岳を感じることができたような気がしています。