#18 光の魔術 2014年2月5日(水)放送

レンブラント・ファン・レイン「夜警」&ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」
ゲスト

美術家 森村 泰昌

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絵画の中の「光」

天井から燦々と降り注ぐ神々しい光、部屋を照らしだす蝋燭の炎。数多くの巨匠たちが描いてきた絵画の中の「光」。その光の効果を究極にまで高め「光の魔術」をもってそれぞれの世界を築き上げた2人の巨匠がいました。

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人気肖像画家 レンブラント

17世紀、アジアとの貿易で富を蓄えたオランダ。貴族だけではなく、市民にまで豊かさが浸透し、空前の好景気にわいていました。そんなオランダの人々の間で流行したのが「肖像画」です。当時は、家の中に自分や家族の肖像画を飾ることが、豊かさの象徴だったのです。その肖像画家として、絶大な人気を誇っていたのがレンブラントでした。何人もの弟子を抱えた工房で、肖像画を次々と描いていきます。人気の秘密は、レンブラントが人物に当てたその光でした。人物の“斜め45度の位置に光源を設定し、陰影を極端に際立たせた、光と影の効果によってレンブラントは、人間の内面までをも描き出そうとしました。この特徴的な光と影を生みだしたのは“レンブラントライト”といわれる、独自の照明方法でした。人物全体に均等に照明を当てた場合は表情に変化は感じられません。しかし、レンブラントライトにすると、光の陰影によって人物の表情が際立ち、また見ている人にその内面をも想像させるような効果を生み出します。

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人気肖像画家 フェルメール

レンブラントの活躍からおよそ200年後の19世紀。一人の無名の画家が脚光を浴びます。ヨハネス・フェルメールです。庶民の日常を写実的に描きながら、不思議な魅力を醸し出すフェルメールの作品。17世紀には決して高い評価を受けなかった無名の画家、フェルメールの作品の価値が、時を経て認められ評価されだしたのです。しかし、その人生は謎に包まれ、現在見つかっている作品も、わずか30数点にしか過ぎません。しかも、もっとも驚くべきことには、レンブラントと同時代、同じオランダで活躍した画家であるにも関わらず、フェルメールの「光」の描き方は、レンブラントと全く異なっていることでした。フェルメールが描いたのは、窓から差し込む太陽光で部屋全体を満たす、“柔らかに何かに包み込まれるような穏やかな光”でした。空間全体を穏やかな光で満たすことで、情感豊かな絵画世界を創り上げています。当時、オランダでは裕福な市民階級が増え、建物の窓にガラスを入れるようになりました。その結果、光が部屋の中まで届くようになったのです。フェルメールはその日常の光を描こうとしました。

日比野克彦

日比野の見方「∞無限大」

日比野の見方 白黒で、文字もない。
中央の∞無限大は、繰り返しを意味している。
歪んだ空間の中に、光の粒子が存在するようなイメージで描きました。

小川知子

小川知子が見た“巨匠たちの輝き”

両方とも教科書で見たことのある絵画ですが 実物の大きさは5倍の差があるそうです。実際に本物を見たら「夜警」の迫力の大きさに圧倒され、「牛乳を注ぐ女」は民家の小窓をのぞいたような気持ちになるのかもしれませんね。2枚ともリアリティがありますね。ゲストの森村さんは、自らの体を使い名画を再現していらっしゃいますが、再現することで絵を理解する手法はとても面白いですよね。とことん真似することで絵の本質、画家の性格まで感じることができるそうです。森村さんと話していると感受性の強さと繊細さを感じましたよ。