#13 魅惑のステップ 2013年12月25日(水)放送

ピアルフレッド・ヒッチコック&溝口健二

写真提供:ユニフォトプレス

ゲスト

映画評論家 佐藤忠男

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魅惑のステップで見せる2人の巨匠

ダンス・歌・芝居が織りなす20世紀最大のエンターテインメント ミュージカル映画。ハリウッドにおいて、ミュージカル映画の黄金期を担ったのが、ダンスの神様と称されたフレッド・アステアと映画「雨に唄えば」の主演ジーン・ケリー。マイケル・ジャクソンが尊敬していた、アステアの神がかったステップ。極限の軽やかさを追求したアステアの秘密とは? ミュージカル映画の革命児ジーン・ケリーが作品に込めたメッセージとは?

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フレッド・アステアの「トップ・ハット」

1935年公開。第8回アカデミー賞:作品賞ノミネート作品。1秒間に8回の音を鳴らす驚異的な技術の高さのタップソロ。ミュージカル映画の黄金コンビとされたジンジャー・ロジャースと織りなす優雅で洗練されたペアダンス。従来のタップダンスではあまり使われていなかった足のつま先やかかとを多用するなど、ダンスのいたるところにアステアの新しい技術が織り込まれていた。そして、アステアは撮影方法にもこだわりハリウッドの技術革命まで引き起こす。

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ジーン・ケリーの「雨に唄えば」

1952年公開「雨に唄えば」。アメリカ映画協会が選ぶミュージカル映画の第1位。ハリウッド映画がサイレントからトーキーに移る時代背景をコミカルに描いたコメディ作品。名場面中の名場面「Singin’ in the Rain」は、当初の予定では全く違うシーンに使われる予定だった。しかし、共同監督を兼任する主演のケリーが脚本の変更を要求。 そこにはケリーの秘めたる思い、観客へのメッセージがあった。

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交錯する二人の運命

ケリーのハリウッドデビューと時期を同じくして追われるようにハリウッドを去るアステア。引退から2年後、アステアの元に意外な依頼が届く。それは当時絶大な人気を誇っていたケリーからだった。撮影を控え、怪我をした自分の代役をしてくれないかという依頼。しかし、2人のダンススタイルはあまりにも違うためアステアは思い悩む。 人気絶頂で10歳近くも自分よりも若いケリーの代役が自分に務まるのか? そして、アステアの出した結論は…?

日比野克彦

日比野の見方“自由”を求めて

日比野の見方 それぞれのステップに軽やかさを求め続けた2人の巨匠。その根底にはアメリカン精神のベースともいうべき“自由”があった。それを求めタップを踏み続けた2人だったのではないか?

小川知子

小川知子が見た“巨匠たちの輝き”

「雨にうたえば」の有名なあのシーン。どしゃぶりの雨を喜びと結び付けただけに、インパクトありますね。あのシーンを子どもたちに見せたら「!!!」な表情で食い入るように見入ってました。本当は真似するだろうから見せたくない気持ちもありましたが、どんな反応をするかの誘惑に勝てませんでした。言葉がわからない子どもでも、歌と踊りで人をひきつけるミュージカルの力も目の当たりにしました。
一方のフレッド・アステア。スッテプ職人です。あの流れるような優雅な動き。うっとりしました。マイケル・ジャクソンが尊敬していたのもうなずけます。あのやわらかい動きには相当な筋肉が必要なはずですがアステアは細身。きっと鋼のような体なんでしょうね。
映画を見た後、パワーが体に宿る感覚はミュージカル映画ならではだと思います。