ミステリー作家 島田荘司
読書の秋! 読者の心をつかんで離さない小説とえば…。「ミステリー小説」一番のお楽しみは、あっと驚く名探偵の推理です。その中で名推理で読者を魅了し、現代でも世界中の人々に愛されている2人の名探偵がいます。一人は1887年にさっそうとデビューした、推理の天才、シャーロック・ホームズ。そして、もう一人はユニークなキャラクターで事件を解決するエルキュール・ポアロ。しかし、その推理方法には大きな違いがありました。その違いとは一体何なのか? そこには2人の生みの親、コナン・ドイルとアガサ・クリスティーの隠された過去があったのです。ミステリー界を席巻した2人の名探偵と作者の秘められた想いと美学について紐解きます。その謎を紐解くのは現代ミステリー界の「ゴッド・ファーザー」島田壮司さんです。島田さんの博覧強記の推理が冴えわたります!
身長180cm、ボクシング、射撃などスポーツは何でもこなす行動派のホームズ。ホームズは現場での観察と豊富な知識で事件を解決に導きます。時に床を這いつくばって足跡を虫眼鏡で観察。そして、豊富な知識でその証拠を分析する、いわば科学捜査のはしりをおこなっていました。
一方ポアロは身長163cm、小太りでぴんとはねたひげが特徴。ポアロはホームズのように物証を重視しません。ひたすら関係者と話しをし、その言葉、仕草を読み解くのです。言わば現代のプロファイリングを使った推理です。人間の思考傾向、行動傾向を探る推理なのです。
この2人の推理法の違いを、2人が解決した具体的な事件を題材に紐解いていきます。
コナン・ドイルがホームズを生み出したのは19世紀末。イギリスの繁栄時代です。しかし、その繁栄の裏では貧富の差が広がり犯罪が多発していました。
当時、「切り裂きジャック」などの動機不明の事件はロンドン市民を恐怖に陥れていました。警察も解決できない事件! 市民はヒーローを求めていました。そんな時代に颯爽と現れたのがホームズだったのです。科学捜査で事件を次々に解決するホームズ。その科学捜査はどうやって手に入れたのでしょうか? そこには作者ドイルの過去がありました。その過去とは…
ポアロの心理にこだわる推理は、クリスティーの生い立ちが影響していました。それは母親の一風変わった教育でした。
その教育法がクリスティーの想像力を養ったのです。
その特殊な教育法とは?
クリスティーの小説の魅力は読者の裏の裏をかくトリックです。島田壮司さんは「クリスティーは犯人隠しの天才だ」と称します。その華麗なトリックとは? スタジオでは、その魅力を小説のネタバレをしないよう、わかりやすく解説していきました。
最先端の科学や、人間の心情の奥底はまだまだ謎がたくさんあります。
そうした人間の知らないところ「謎」に対する欲求を満たしてくれるのが推理小説なのです。
未知なる世界へ名探偵が読者を連れて行ってくれるのだと思いました。
今回のテーマはホームズとポワロ。中学くらいの頃、夢中で読みました。懐かしいです。ホームズとポアロはそれぞれ別々の物語ですが 改めて並べてみると同じ“探偵”とはいえ外見・性格・手法も全然違う人物像なんですよね。そこには設定した作者の職業や生い立ちに秘密があったのです。
ゲストのミステリー作家の島田荘司さんはダンディでハードボイルド小説にでてきそうな雰囲気。シリーズ物を書くときは相当細かく人物像を設定するそうですよ。日ごろからの観察眼が求められますね。思いついたトリックをどう小説に取り込むか? ミステリー作家のキモともいえるところをちょっとだけ話してくださいました。